金も知恵も無いなら
秋冬のショーが終わり、パリでの挑戦が終わり、中国出張が終わり、
sachiyoさんのライブでのミニファッションショーが終わり、
横浜の豪華客船ロイヤルウィングでのカクテルクルーズでの
イベントが終わり、ほっとするまもなく、今は更に輪をかけて
アトリエが慌しくなってきています。
何でそんなに忙しいのかといえば、また新しい事を
始めるからなんですが、これについては改めてお知らせします。
僕は浅草にある会社で、貿易についての実務を覚えるために
一年間働いていたことがあるのですが、浅草で働き始めて
ビックリしたのが、近所の人たちや取引先の口の悪いこと、悪いこと。
(浅草の人たちすみません)
「オィ、兄ちゃんお前何にもわかってねぇな」とか
「お前、今さら何言ってやがんだよ」とか
「若いくせにエラそうに」
スーツを着たいい年のおじさんたちが、お客さんとか取引先の
立場の僕に向かって言うんです。
最初は面喰って驚いたものの、少しずつ慣れてきて
時間が経つにつれ、乱暴でぶっきらぼうの口調の中に
優しさや思いやり、相手をいたわる気持ちが込められている事に
気がつき、とがったコトバが、だんだん心地よく聞こえてくるように
なりました。
そんな浅草時代、今も忘れずに教訓にしている事を教わりました。
浅草には三社祭という大きなお祭りがあって、このお祭りのために
一年間仕事をしている人がいるほど、浅草でこのお祭りは、住む人や
そこで働く人たちにとって大きな存在なのですが、このお祭りに関して、
何人かの人たちから聞いた言葉です。
「金を出せ。金が無いなら知恵を出せ。知恵が無いから汗流せ」
▲という言葉です。
「若いヤツは金も無ぇし、バカでどうしょうもねぇんだから、
とにかく一生懸命、汗を流せよ。バカヤロウ!」という意味です。
もちろんコレは浅草が源流の言葉じゃないと思うんですが、
口の悪い下町の江戸っ子の人たちが口にすると、妙にしっくり
くるんですよね。
忙しさにくじけそうになった時や、新しい挑戦に足がすくみそうに
なった時、浅草時代いつもお酒を飲みながら怒られていた、口の悪い
おじさんたちを思い出し、毎日汗を流しています。