インビテーションとフンドシ
今回のコレクションのインビテーションはちょっと凝りました。
いつもお世話になっている、ギュラリー・エフに
デザインを依頼しました。
来季のテーマを話したら、こころがこもった素晴らしいものを作ってくれました。
真ん中に張られているのは切り絵なのですが、まず手漉き、そして手染めの上質な和紙を使用しています。
それを伝統工芸を受け継ぐ剪紙(中国の切り絵)職人が、一枚一枚丁寧に切りました。
切られた文字は雅体。古代中国の風流な貴族が使っていた文字です。
これは上海PAOSの社長、王超鷹(オウチョウヨウ)さんにデザインしてもらいました。
「梅」という漢字が書かれているのですが、字を読むことが出来なくても、そのデザインで
文字の意味が、分かっちゃいますよね。
その文字の隙間からチラッと覗いているのは、赤い文字で書かれた漢詩。
雪盡千鮎紅
風送一樹香
中国人じゃない限り、インビテーションが届いたときには、たぶんほとんどの人が
その意味がぼんやりしか分からなかったんじゃないかと思います。
会場に来てくれた人には「香りのお返しカード」を受付で渡しました。
梅の香りがほんのり付いた、そのカードの裏に日本語で意味を書きました。
雪が尽きて、幾千もの紅があらわれる
風が吹いて、その樹より香りただよう
ショーの余韻を、香りとして持ち帰ってもらおうと思い、こういう企画になりました。
みなさん、どんな余韻を持ち帰りましたか?
今回コレクションのモチーフとして、雪の中で蕾をつけ、春を一番に知らせる花、「梅」を使いました。
目をつぶって香りを嗅いで、ショーを思い出してもらったら、なんとなく僕達のメッセージを受け取ってもらえたんじゃないかな、と思っています。
ショーの会場で配ったお土産、分からなかった人も多かったんじゃないでしょうか?
あれ、実は「ふんどし」です。
紙を「折る」「切る」「畳む」「包む」と、今回いろんな側面から捉え、表現してみましたが、
大切なものを「つつむ」という事でフンドシをつくってみたのです。
↑つけるとこんな感じです。
このフンドシ、使い方によってはマフラーにしたり、バンダナみたいに頭に巻いたり、
エプロンみたいな使い方をしたりと、いろんな風に遊べると思います。
会場にいらした方は、是非いろいろ試してみてくださいね。