大切な思い出
ミケが一昨日天国に旅立ちました。
これまであまりプライベートなことをここに書かないように
していました。
でも、今回はスミマセン、書かせて下さい。
猫嫌いの人、動物が苦手な人、ごめんなさい。
もし嫌だったら、どうぞ読み飛ばして下さい。
ミケはスタッフの僕たちのみならず、みんなの人気者でした。
「猫は苦手だけど、ミケは好き」って言う方がいるくらい、
ミケは別格でした。
当然僕にとっても特別な存在でした。
10年前のある日の昼下がり、ミケに出会いました。
一番最初に会ったのは、まだお店を出店する前の事だったと思います。
お店を探している時に出合ったんです。
お店を出してからはもっと仲良しになりました。
そのうち、お店の前を通ると、中に入って挨拶をしていくように
なりました。
ミケはそこらじゅうでいろんな名前で親しまれていましたが、
当時、ミケに固定の家はありませんでした。
きっと愛想の良いミケは、気が向く時に気が向くところに出向いていき、
いろんなところでご飯をもらい、そして好きな時に好きなところで昼寝をして、
地元の人、観光客の人かまわず、たくさんの人からかわいがって
もらっていたんだと思います。
ある冬の朝、ミケはROUROUで子供を産みました。
たくさんの家があるのに、子供を産む時に選んだのはなぜか
ROUROUでした。
なぜROUROUを選んだったのか、今となってはミケに聞くことが
出来ないので、よくわかりません。
お店の2階は今はLotus roomですが、昔は事務所兼倉庫でした。
薄暗い倉庫の片隅で、ミケは子供を5匹産み、そして育てました。
子供を産んでからのミケは違いました。
それまで、外泊(?)ばかりだった彼女は、散歩に出かけても
ROUROUにしか帰ってこなくなりました。
その後は皆さんが知ってるとおりです。
お店の目の前で、お客さんを招き入れ、そしてお店が暇な時などは、
それを知ってか知らずか、店の外に出て、散歩をしながら、お客さんを
次々にお店に連れてきてくれました。
それはまるで、子供を産ませてくれた御礼に、僕たちに恩返しをしている
ようでした。
もともと動物好きで、いろんな犬や猫を飼ったことがある僕でも、
ミケのように賢い動物には会ったことがありません。
猫を飼っているというよりは、友達や家族と生活している
みたいでした。
具合が悪くて寝ていると、いつも側にいてくれました。
コンビニや近所のお店に用事がある際には、いつも僕に
付いてきてくれました。
いつもはなれずにいるミケを「僕の秘書です」と取引先に
紹介したことがあるくらいです。
最後までミケは気丈でした。
歩けなくなっても、粗相をする事が無いように、最後の数日間は
シンクにいることが多かったです。
それがミケがミケらしいところです。
心配して悲しむ僕と一緒に、プリンを食べてくれました。
病気のミケを目の前にして、動揺する僕を一生懸命励ましてくれました。
どちらが病気なんだか、分からないくらいです。
骨だけになった背中をなでると、いつまでもずっとゴロゴロしてました。
連日朝まで看病でアトリエに残っていた僕を悲しませたくなかったのか、
ミケは最後の瞬間を僕に見せませんでした。
最後に会ったミケは、「もしかしてこのままく良くなるかも」的な
雰囲気で、僕を心配させませんでした。
ペットショップに栄養剤の点滴を打ちに行った、ほんの一瞬をついて、
ミケはあっけなく天国に行ってしまったんです。
最後は抱えきれないくらいの花をスタッフ達にプレゼントされ、
どこか少し笑っているようでした。
ミケを心から愛した人達に見送られて、ミケは静かに
天国に登って行きました。
大切なものはカタチではなく、心から生まれるんだと思います。
今の一瞬を大切に素直に一生懸命に、瞬間を大切にすることが
永遠への道しるべにきっとなって行くんだと思います。
ミケが生んだ子供の内3匹は里親に引き取られていき、今でも2匹が
アトリエに仲良く生活してます。
僕やROUROUを支えてくれる身近な人たち、そしてミケが残してくれた
大切な家族を、これまで以上にもっともっと大切に行きたいと思います。
それがミケが僕に残してくれた、心の財産なんだと思います。
今回はこんなプライベートなこと書いてすみません。
でも今回だけは勘弁して下さい…
ミケ、これまでほんとにありがとう…
やすらかに…
そんなミケが雑誌にのりました。