「父方祖母の33回忌」2話目
★前回までのあらすじ★
キタミの父方祖母が33回忌を迎えた。
不謹慎とはわかっていながらも、こういった時にこそ笑ってしまうのが、世の常。
そして案の定、スタート前から、すでに笑いを堪えられていないキタミ家。
いったいこの後、無事に33回忌を終えることができるのか?!
父方祖母は、呪って出ないのか?!
・・・・・・・・・・・・・・
ようやく、所定の位置にたどり着いたお坊さん。
スタンバイしたマイクを通して、その声が聞こえてきます。
「それでは今から、○○○の…えー…33回忌を…始めま」
…声、ちっさ!!マイクなのに、声ちっさ!!
母方祖母、早速、攻撃開始です。
「何言ってるの?えっ?聞こえた今の?」
だてに戦争を生き抜いていません。容赦なく攻め立てます。
母は必死になって「大丈夫だから!」(?)と、なだめることしかできません。
そして、これまでジッと遺影を眺めていた父が、ついにここで口を開きました。
「あのお坊さんのまわり、ゴングみたいな鐘があって…バチがあって…
もう一つでっかい鐘があって…太鼓みたいなのも見えるし…
ドラムセットみたいじゃねぇか?」
そこ!?
姉妹は仲良く噴出しました。
そんな私たちの話が聞こえているのかいないのか(たぶん聞こえてる)
お坊さんは、ただただお経を読み続けます。
そして、いよいよ何やらバチを持ち始めました。
父で言うところの「ゴング」の出番です。
ガチ!
ガチ!
…!?!?!
前回の日記を覚えていらっしゃいますでしょうか、
この33回忌が始まる前に、私が家族にむけて話した、「おもしろ法事」のネタ。
鐘が転がり落ちて、お坊さんがハメ直したものの、
チーンの音色はもはやそこになく、鳴らすたびにガチ!ガチ!としか鳴らなかったというあのネタ。
まさに、その「ガチ!」の音色が、この瞬間、私たちに突きつけられたのです。
突然の出来事に、妹は一瞬ビクッ!と硬直すると、
どうやらあの話を思い返したらしく、肩がワナワナ震え始めました。
その姿を見て、「ふふっ、笑ってる笑ってる♪」と、最初は私も余裕だったのですが…
「笑ってる笑ってる…ププッ!笑ってるよあの子…
こんな厳粛な場で…あんな必死に我慢しちゃって…」
と、考えれば考えるほど、私も「笑い」の谷底へと引きずり込まれそうになります。
なんとか落ちることだけはないようにと、上目遣いで天井を見上げながら
「あの格子はずいぶんまっすぐに造られてて立派だなー」と思ってみたり、
舌で口の壁をなぞってみたり、一生懸命笑いから気をそらすよう努力しました。
しばらく、それで乗り越えていたのですが、
結局妹が「フンヒッ!」と声をあげて笑ってしまいまして、
それに抗うすべもなく、もはや私は堂々と笑うしかありませんでした。
ここまでですでに、キタミ家は半年分くらい笑っているのですが、
なんと、ここにきてさらに重い重いメインディッシュの登場です…
10数年前、やはり同じお寺で法事をした時に、
私たち一家を笑いのるつぼへと放り込んだ、魔のアイテム。
木魚のお出ましです。
なんとこちらでは、一緒に木魚を叩くという演目(?)が存在するのです!
「ついに…きたか…」
私たちは腹を抱えました。じゃなくて、くくりました。
前回は私たち一家のみだったからまだ軽症で済んだものの、
今回は、母方祖母が台風の目のような存在感を示しております。
さて…
「それでは、●●●と言ったら~、一緒に木魚を叩きましょう~」
…(ゴクリ)
私たちは固唾を飲み込んで、●●●というキーワードが出てくるのを待ちます。
まるでスタート直前のF1のように、「笑い」という灼熱のアスファルトの上で
ブルンブルンとエンジンをふかしながら…
ところが、一向にその●●●というワードが出てきません。
声が小さいから聞き落としたか…?
それとも、やっこさん、じらしてるのか…?試してるのか…?
木魚を持つ手に迷いが生じます。
すると
「ここじゃない?今じゃない?今しかなくない?」
フライングです!祖母がフライング☆ウッドフィッシュです!
たしかにお坊さんはすでに木魚を叩き始めていたのですが、
●●●が聞こえないうちに、祖母の木魚もポコポコ威勢のいい音を発し始めました。
キタミ一家、それを聞いて笑いの大クラッシュ!!
「つ、つづけー!!」
もうこうなったら、ヤケクソです。
ただし、ポクポク連打で鳴らしすぎれば絶対に笑いますし、
そんなことをしでかしたら、間違いなく出入り禁止になると思いますので、
ここはポクポクというより、サスサス撫でるような感覚で木魚を愛でます。
しかし。
よく考えてもごらんなさいよ。
なんでこんなに力強く叩いちゃう方もいるんでしょうか。
私の持つバチは、すでに乱暴者の手により、見事なまでに反り返り、弓のような立派な曲線を披露しています。
こんなのでもう、簡単に笑えますよ。
そして間髪にいれずに、父です。
木魚の音が聞こえない父は、お坊さんの手元も見えないことから、
私たちの様子を基準に、木魚を叩いていました。
ところが、そんな私たちのタイミングがそもそも(笑いのせいで)ずれているため、
父のリズムがワンテンポもツーテンポも遅れ始め、
仕舞いには、「ズン・タッ、ズン・タッ」というように、お坊さんの裏拍をとるような形になってしまいました。
これでもう、また笑えますよ。浄土真宗・ロックとか考えちゃって…
そうこうしているうちに、ようやくゴールを迎えました。
と、思っていました。
「えぇ…次は、お歌を歌いましょう。」
?!?!?
これは初耳です。前回もなかったコーナーです。
キタミ家はついに、未知なる扉を開いてしまったのです。
長すぎる!長すぎるので、なんとまさかの3部作。次回に続く!
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